2016-03-03

運命が決まっているなら

ヨガを学ぶと必ず出てくるカルマの法則。



まだあまりしっくりときてません。



何か悪いことがあると、あぁ、あのときのカルマか、みたいな会話はあまりしたくない。



自業自得という次元での話ならわかるけど、



例えば不慮の事故にあった人のことを、そういう運命だったのだろうとか、



そうなる悪いカルマを積んだのだろうとは、絶対に思わない。



偶然の不運、と思うし、カルマは関係ない、とわたしは今のところそう思う。



それはカルマなのだよ、と先生に教わったけど。



今から始まる未来はある程度変えられる部分はあるはず。



過去がどうであろうと今の環境がどうであろうと、これからのことは自分しだいって考え方がわたしは好き。





…ええと、とても心に残る素晴らしい小説でした。





「わたしを離さないで」 カズオ イシグロ

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97%E3%82%92%E9%9B%A2%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7-%E3%82%AB%E3%82%BA%E3%82%AA-%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%B0%E3%83%AD/dp/4152087196
















重たいテーマで、ラストも切なく、気持ちの整理はなかなかつかなかったけど。



でも読後感は、ずっと予見されていた喪失感だけではなくて、不思議と清涼感さえ残ったのは、

物語の大半が女の子同士の友情の機微を描いていて、そこにたくさんの共感と親しみがあったから。




イギリスらしい風景の描写も情景が掻き立てられてとても良かった。



優しくて静謐な文章です。イシグロさんの他の作品も読んでみたいな。



訳もほんとうによかったです。訳ということを忘れるくらい。





内容はとんでもなく衝撃的です。




将来は臓器提供をするという運命を持つクローンとして生まれて、それを当然のこととして抗うことなく生きている若者たちの物語。




なんて物語なんやろう。




残酷で無慈悲な世界設定の中で、ありえないと思いつつも、



現実ともしかしたらすれすれなのかもしれないと感じながら、何度も途中で深呼吸しながら読み進めた。




親友2人の最後を、「使命を終えた」 と、あまりにもあっさりとした言葉で綴っていたり、強烈な内容が淡々と語られているから、



小説の前提となっているその「ありえない」世界にひきずりこまれました。




だからかな、ふつうなら感じるだろう、どうしてこの運命に立ち向かわないの、という苛立ちやもどかしさは全くなかった。




未来を生き抜けない人生を受け入れてしまっている彼らの生き方を、静かに読んでいきました。





読み方は色々あると思うけど、この作品では、いろんなことを問われている気がしました。




生きるとはなにか、幸せとはなにか。




人間として生まれた以上、命は限られている。そういう意味での運命を考える。



自分の命が、わたしの大切な人の命が、10年後、5年後、1年後、もっと早くに、
最後を迎えるのなら、それが避けられない運命だとしたら、今、どうしたいか。




そんなことを考えさせられることに、ある意味とてもリアリティを感じてしまう。




そして、クローン人間が現実化することがあるのかはわからないけど、



人間というのは当事者意識がないと、不都合な事態から目をそむけて生きていける部分をきっと持っている。


わたしにそういうところ、ないだろうかってこと。



…少し話はずれるのかもしれないけど、


現にわたしたちは動物の命をいただいて生きていること、



このことも頭に浮かびました。



なんだかやっぱりまだまとまらないけど…




定められた運命はないとしても、命は無限ではないから



今ある環境の中で不満にフォーカスするのではなくて
できることを精いっぱいやっていかなきゃって思わされます。







すごい小説でした。






ドラマをみている人はぜひ原作を読んでみてください。